経営基盤の強化に資する
130年で培った技術と経験・ノウハウといった暗黙知を形式知化することは並大抵のことではない。現場のベテラン社員は、音やにおい、温度など五感を働かせて機器の状態を見極める。まさに職人領域だ。これを形式知化していくことは非常に難しいのだが、同センターのスタッフは果敢に挑む。
ベテラン社員のインタビューを行いながら、設備機器の運転操作や管路管理作業の模様を撮影。さらに若手エンジニアに映像を見ながら作業に携わってもらい、「詳細説明がほしいところは」「どういった点がわかりにくかったか」など活用側の声を反映。さらに作業時に注目すべきポイントやコツについても字幕を挿入したり、映像を拡大したりするなど、単なる作業時の説明動画でなく、後に続く若手エンジニアも理解しやすいよう構成にも工夫を凝らす。これら映像ツールは、集水ますの土砂清掃や小型高圧洗浄車の運転操作など維持管理に必要な技術映像集として多数ラインアップされ、生きた教材として技術継承と技能向上に大きな効果を発揮している。
映像制作に携わるナレッジセンターの梅川弘治担当係長は「処理場ごとに設置されている設備は異なりますので、運転管理の仕方も千差万別です。一つひとつ映像化していくことは大変な作業ですが、技術継承は下水道事業を持続していく上で大きな課題です。これらを解消していくために現場としっかりコミュニケーションを取りながら後世にわたって活用しやすい映像ツールを構築していきたい」と前向きだ。
機械基礎研修
電気基礎研修
研修カリキュラム(一部抜粋)
- 機械基礎研修
- 電気基礎研修
- 研修カリキュラム(一部抜粋)
同社における社員教育や研修についてもナレッジセンターが担う。社員の大多数は大阪市建設局からの転籍社員であるが、今後、熟練した技能を有したベテラン社員が定年退職を迎えていくことが見込まれているため、さまざまな研修カリキュラムを駆使して人材育成に注力している。
具体的には新入社員研修から始まり、経験年数、職種、階層などキャリアに応じたカリキュラムを整え、それぞれの社員が求めるキャリアプランに整合した研修計画を策定。必須研修と希望型研修を区分し、社員の技能向上とキャリアアップをサポートしている。
「ナレッジセンターのスタッフは、現場社員と常に綿密なコミュニケーションを図り、どういった内容が求められているか、常にアンテナを高くニーズ収集に努めている」とナレッジセンター兼DX推進課の荻野剛盛担当係長は語る。技術はもちろん、安全衛生やマネジメント、コンプライアンス、維持管理など多種多様の専門講座がラインアップ。加えて、下水道技術検定および下水道管理技術認定試験、さらには技術士といった資格取得に向けた講座など実に80講座を開設している。
また、大阪市内全12下水処理場と市内8ブロックで区分した管路管理センターに全てに、電子ホワイトボード・大型ディスプレイ・Web会議システムを一体化したMAXHUBを導入。Web会議の定着はもとより、現場での研修受講も可能としている。