巡視・点検からデータの入力まで
施設課巡視・点検担当の主な業務は、マンホールおよび集水ますの巡視・点検。巡視・点検の結果は、管路管理センターに報告し、状況を確認した上で、機能支障の恐れのあると判断された管路は各管路管理センターが補修などを行う。
しかしながら、その点検項目は膨大だ。マンホール蓋の表面はもちろん、マンホール内部を目視し、管路内で汚水の滞留がないか、内部に損傷がないかを入念に確認する。蓋周辺の舗装のチェックも怠らない。マンホール蓋の蝶番が外れている場合はその場で設置・修復作業を行う。
集水ますについても、周辺道路の陥没のほか、ますが道路の側溝から完全に出てしまうなど危険な場所に位置していないか、取り付け管の状況は正常かどうかなどを一つひとつ丁寧に確認していく。
大阪市内にあるマンホールは約19万基。1スパンに対して、集水ますは平均5~6カ所だが、多いところでは15カ所にも及ぶ。このうち、令和5年度の点検箇所は1万7745スパン。これらを3班で1年かけて点検していくのである。
点検箇所数は日によって異なるが、およそ1日1班30スパン前後。毎月約1600スパンを点検する計画で、毎日の歩数は1万5000歩以上に及ぶ。1年のうち、約11カ月かけてこれらの巡視・点検を行い、残りの1カ月は雨天時の予備日として確保するほか、来年度の準備や計画の策定に充てる。
巡視・点検を担当する13人のうち、係長を除いた12人が1班4人の3班体制で業務を行う。それぞれの班には主任が1人ずつ配置されており、この主任を中心に班を編成していく。
班のメンバーは決して固定せず、2カ月に1回、必ず入れ替えを行う。これは班ごとに独自ルールを作らず、慣れ合い防止や、スタッフ全員で情報共有できるようにするための工夫だ。
おおむね午前中から昼頃にかけて巡視・点検を終えた後は、点検データをシステムに入力する。この作業が想像以上に煩雑なのである。現場で手書きした情報を一旦整理し、システムに設定された必要項目に沿ってデータを入力していく。各班、主任以外の3人がデータを入力し、主任が確認した後、係長が3班全てのデータを確認し、管路管理センターに報告する。正確なデータが求められるため、ダブルチェックは必須だ。
各班を束ねる主任の一人である三浦信隆さんは、入力システムの改良に注力している。大阪市から指定された入力方法に従った上で、作業の効率化が図れるよう、実際に入力作業を行う係員の意見を聞きながら、システムのカスタマイズを続けているという。
三浦主任は、「自分も含めて、皆いつ異動があるかわからないので、次に来る人が新規採用の係員でも、システムが苦手な人でも、業務をきちんとルール化しておけば、誰でも活躍できるし、そうでなければならない。係員のためになってこその主任だと思うので、コミュニケーションをしっかりとっていきたい」と意欲は尽きない。
そして、意外にも現場に出ると4人の役割は流動的だ。それは誰でも全ての業務ができるように、また、道路など現場の状況によって異なるためである。1人がマンホール蓋を開け、その間にもう1人がデータを記入、残る2人が交通誘導と集水ますの点検を行う場合もあれば、交通量の多い場所や交差点などでは3人で交通誘導を行うこともある。その場、その場で臨機応変に行動する。だからこそチームワークが命綱だ。こういった地道ながらも堅実な仕事振りだからこそ、〝当たり前〟の日常が守られるのである。