上下水道ゼネラルコンストラクターとして
今年度末までの前期中期経営計画は、「事業構造改革」を旗印に、意識改革を通じた時代の変化やニーズに適応できるマインドセットの醸成に重点。77年もの歴史に敬意を示しつつも、未来志向へ既存体質からの改善を強力に推進してきた。
フソウは現在、事業領域ごとに区分した事業別組織で執行。これまでは北海道から沖縄に至るまで全国一円の支店・営業所単位での拠点別組織を敷いていたが、拠点独自の裁量・価値観にこだわり、企業全体としてのスケールメリットを発現しにくい環境であったことから、全体最適解を求め、事業別組織に改編。さらに、既存のビジネスモデルから発展形モデルに改善すべく、価値観が共有できる社員を適材適所に配置。経営基盤の強化へ今年度は前期中期経営計画の最終年度でもあることから、次へのステップに向け、強力に体質改善を図っていく方針だ。
これら事業構造改革による強固な経営基盤を引っ提げ、2024年度から始まる次期中期経営計画では「新たなブランド構築への挑戦」を掲げ、未来志向型の上下水道ビジネスへ本格的に舵を切る。
フソウは、水道資機材の販売や鋼板製異形管の製造・販売といった管路ビジネスとともに、浄水場・下水処理施設等のEPC(設計・調達・建設)とO&Mビジネスも手掛ける上下水道ゼネラルコンストラクターだ。上下水道の普及拡大がメインであった時代においては、それぞれの特性を生かした事業展開を図ってきたが、普及拡大から持続可能・基盤強化へ事業目標が変革してきていることから、上下水道分野の施設と管路の両輪を専門的に手掛ける唯一の企業としてその強みを生かし、施設・管路一体型提案を推し進め、全体最適の視点で地域の持続と基盤強化をデザインしていく。デザインするに当たり、最も大切にしている視点は「地域の特性」。自社技術・製品に固執せず、他社の技術製品であっても地域特性の最適解であれば積極的に取り入れていく。
また、PPPやPFIといった官民連携型のビジネスモデルが主流となる中、事業別組織から各事業部の専門性を融合させた機能別組織への転換を模索。〝情報〟の流動性を高め、ソリューション・サービス開発のスピードを上げていく。その第一弾として、事業部の連携横断組織として3年前に組成したソリューションデザイン事業部の強化を図り、One FUSOでの提案の質を高める。
当然ながら、One FUSOでの提案の基盤となる既存事業の強化にも余念がない。建設事業ではEPCだけに注力するのではなく、O&M体制を強化すべく投資を加速させる。商社事業では資機材供給だけにとどまらず、工事を含めた役務提供やきめ細かい物流サービス、管路DB方式の提案・サポートなどを手掛けていく。製造事業では新たな領域へ技術開発を進めている。海外事業では、今年度中にベトナム・米国への現地法人設立を予定しており、本格的な動きが始まった。
さらにフソウだけでなく、フソウグループ全体で新たな時代を見据えた経営戦略を描く。人口減少によって地域力が低下してきている中小都市のサスティナブルデザインを支援していくために、上下水道事業、住宅・設備事業、再生可能エネルギー事業のノウハウを融合させた複合提案を進めていく。ドイツのシュタットベルケも参考としながら、地域の特性に合わせた複合型ユーティリティマネジメントシステムを新たなビジネスモデルとして描き始めた。