安定から使命と責任へ
中川さんが同社の門戸を叩いたのは、国民生活に不可欠な水道インフラを担うことから、経済情勢に左右されにくい〝安定〟した企業であること、そして生まれ育った近江地域で働きたいという願望が重なったことが決め手だという。第2次世界大戦後に確立された国際秩序がかつてないほど揺らいでいる昨今、〝安定〟が大きな判断基準になることは想像に難くない。
中川さんが所属するエンジニアリング事業部は、メーカー機能だけでなく設置工事やアフターメンテナンスに至るまで事業領域を担う新しい組織だ。2025年に新設され、生産本部・技術本部・営業本部からメンテナンスエンジニア10人、設計エンジニア11人、営業スタッフ3人を含む総勢26人の少数精鋭で、定期的なメンテナンスが必要となる緊急遮断弁等の特殊弁や小規模浄水装置群のアクアシリーズを取り扱う。
アクアシリーズは、小規模集落・専用水道向けに開発された浄水処理システムの総称で、沢水・河川水・井戸水など幅広い原水を、安全な飲料水レベルに浄化するパッケージ型浄水装置だ。限られた敷地でも設置できるようコンパクト化され、一般家庭用の電圧AC100Vで運転可能な仕様も取り扱う。製品は据置型のほか、過疎化の進行で将来の施設廃止時に移設可能な可搬型があり、高性能かつ可搬式の「移動できる浄水場」として注目されている。
さらにあらゆる原水に対応できるよう水質に合わせてオプションユニットを組み合わせるカスタマイズが可能。処理方式は、滅菌処理のみでは対処できないクリプトスポリジウム、ジアルジアなどにも対応できるようMF膜処理、UF膜処理、紫外線処理など確実で安心な処理ユニットをラインアップ。これら全て無人化による全自動システムで構成されており、技術者不足でも実施可能なメンテナンス軽減化を実現する小規模地域に優しい浄水処理装置である。
現在までに、全国の小規模地域で300台以上を配置。中でも災害時の水供給に大きく貢献するアクアレスキューが多く活躍している。
中川さんは、アクアレスキューなど浄水装置の設計を担う。CAD(Computerd Aided Design)を駆使して膜モジュールや配管類、電気制御など200点以上の部材を適正に配置し、地域の望む最適解の設備を設計。完成後には、自ら念入りに動作確認をこなすなど、水処理エンジニアとしての道を着実に歩んでいる。
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一方、入社時には安定が大きなファクターであったが、日を重ねるごとに、水道という飲み水を供給し続けていく「使命」と「責任」を感じてきているという。「経験を重ねるごとに、絶対なくしてはならない『水』を届け続ける大切な仕事に携わっている責任を感じています。一方で、この会社でこの仕事に携われる誇りもあります」と穏やか表情の中にも凛とした目で語る姿には3年目とは思えないたくましさを滲ませる。
まだまだ伸び盛りの3年目のエンジニアは「学ぶことが多い日々です。先輩方にはご迷惑かけっぱなしです」と謙虚に言葉を紡ぎつつも、「納期に間に合わせようと先輩や上司の方も忙しくされているのに、丁寧に指導してくれます。エンジニアリング事業部は営業スタッフとエンジニアが融合した組織ですが、お客さまのニーズに最大限応えるべく、皆が活発に意見交換するなど活気があります。早くその輪に入れるくらいの技術力を身に付けたいですし、施工現場での経験を早く積んで、直接お客さまの声を聞きたい」と意欲的だ。