社員ファーストを掲げて
創業者・治氏から社長業を引き継いで15年。この間、上水道事業においては国民皆水道が実現され、下水道や合併処理浄化槽などよる汚水処理人口普及率は9割を超えた。昭和から平成時代の主流であった普及拡大の路線から持続可能なマネジメントの実現へ、ビジネス形態も様変わりしている。
「コンサルタントは『人』が最大の経営資源。こうした社会変動をいち早く察し、人口減少社会下における労働力不足を乗り越える新たな経営フレームが今まさに、求められている。一人ひとりが健やかで生き生きと、お互い支え合いながらワンチームで事業を展開していくことこそが、これからの企業活動の礎だ」との思いで、社員ファーストの経営的視点を掲げたさまざまな働き方改革に強い信念で取り組んだ。
まずは、長期時間労働体質の是正に着手し、休日出勤の禁止や週ごとの残業時間における上限管理の厳格化など徹底した働き方改革を進めた。残業時間が少なくなったことでプライベートな時間が生まれ、友人とのコミュニケーションや家族サービスによるリフレッシュ、健康維持のための運動、資格取得のための勉強などワークライフバランスに大きく貢献。これらワークライフバランスが社内に浸透してきたことによって、頭脳集団として創造力や独創力が増し、顧客に対して高度な品質を提案できるまで磨き上げてきた。
さらに、育児・介護を支援する独自制度を構築。同社は全社員のうち、約3割が女性。男性中心の業態の中で、女性社員が育児と仕事を両立し、本人が望む限り、できるだけ長く勤められるように、復職後の時間短縮勤務の期間を子どもの小学校入学までに延長するなど柔軟な対応を実施。もちろん男性社員も制度の利用が可能である。
介護についても同様だ。介護休業は、どのような介護を行うかを決定するための準備期間という考え方から、通算93日という限られた期間しか認められていない。
ただ、介護は期間の目途が立てにくいといった点が懸念されることから、経済的支援として要介護状態に応じた補助制度を導入。継続的に発生する介護費用に安定して充当できることから受給社員から高い評価が得られたという。まさに、高齢化社会における企業経営のあり方を先導する取組みといえる。
まだまだ、社員ファーストの制度は尽きない。「心身ともに健康であるべし」という信念の下、社員運動会の開催や社食の設置など、社員の心と体に気を配った取組みも行ってきた。
また、6~10月にはノー残業マンスを実施。11時間以上のワーキングインターバル制度や有給休暇以外に1年で2回、15時退社が可能となるリフレッシュ退社制度、有給休暇の取得率向上に向けた年次有給休暇計画的付与制度、さらには、奨学金返還支援制度や社宅制度も導入するなど強いリーダーシップで働き方改革を実行してきた。これらの取組みが評価され、2020年から健康経営優良法人(中小規模法人部門)に認定され続けている。