ライフラインの持続性を確保
同社は現在、水と環境のコンサルティングとソフトウェアのサービスをベースに、国内外のコンサルティング、ソフトウェア、インスペクション、オペレーション、グローバルの事業を展開している。
主要な事業分野は上下水道。日本の上下水道事業は、市町村が主体となって整備・運営されることが多く、現在の水道普及率は約98%、下水道処理人口普及率は81.0%となっている。
上下水道の特長は、生活に欠かせないサービスであり、絶対になくならないこと、そして、社会ニーズに合わせて変化していくことである。水の使い方はライフスタイルによって変化するものであり、気候変動が進めば、豪雨対策が必須となる。このため、事業の持続性と変化への対応が重要といえる。
●コンサルティング:豊富な経験とノウハウ
事業課題に最適なソリューションを提供
脱炭素化提案(消化ガス実証施設)
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- 事業課題に最適なソリューションを提供
- 脱炭素化提案(消化ガス実証施設)
コンサルティングでは、全国の上下水道事業体における調査や計画、設計、監理、経営改善などの業務を実施。同社の強みは、充実した技術者が全国に配置されており、経験やノウハウを豊富に蓄積している点である。
そして、水と環境に関する事業課題の中でも、施設の老朽化対策、大雨等の災害対策、人口減少社会への対応、脱炭素社会の構築に焦点を絞り、これらに対応した新たなソリューションの創出に取り組んでいるところだ。
施設の老朽化については、ソフトウェアサービスやインスペクションサービスを活用した効率的なアセットマネジメントの運用と高度化を推進。災害対策では、浸水想定区域図作成やハザードマップ等のソフト軸、施設耐震化・耐水化コンサルティングや施設整備計画等のハード軸に加え、グリーンインフラの提案や災害情報の発信などコミュニティ連携をもう一つの軸に設定し、地域全体での災害強靱化を進めている。
人口減少社会への対応については、広域化・共同化・PPP事業の推進等により、事業の効率化と経営の改善に関する提案を実施。脱炭素社会の構築においては、上下水道施設を活用したエネルギー開発に向けた提案や、下水汚泥の肥料化検討等、地域の資源・エネルギー循環の構築を推進している。
国内における実績は浄水場で約300カ所、下水処理場で約600カ所に上る。ソリューション型ビジネスの創出により、技術と経験に根差しつつ、コンサルタントの枠にとらわれない新たなサービスの創出を目指している。
●ソフトウェア:インフラDXを推進
同社のソフトウェアは、インフラの管理を中心に運転管理支援から雨水対策まで、経営面では料金徴収、財務会計、資産管理まで上下水道のほぼ全分野をカバーをする。
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クラウドサービス「SkyScraper」は、全12のアプリケーションが一つのプラットフォームで利用可能。また、施設内の設備台帳、管路台帳等の施設情報データベースを起点として、AIやIoT等の最新技術を活用した効率的なサービスを利用できる。
SkyScraperCVは、点検調査の画像を解析し、ひびやキズ、腐食、浸入水等の異常を自動検知できる。また、SkyScraperMLは機械学習により、施設の最適な運転を提案。機器の振動解析による劣化状況のモニタリングや、水位センサーによる浸水予測サービスなど、幅広い機能をパッケージ化した。
現在のユーザ都市数は、260都市となっている。
●インスペクション:オンリーワンの技術
下水道管内を飛行するドローン
海外でも活躍するドローン(シンガポール)
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- 下水道管内を飛行するドローン
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同社では、インスペクションとして、インフラの点検調査サービスやツールの販売を実施。とりわけ下水道管内のような狭い空間で飛行し、点検するドローンの開発に成功しており、作業の効率化や安全確保、精度向上も実現している。直径40cmの下水管を飛行できるドローンは世界で同社だけであり、オンリーワンの技術である。
また、昨年より、水上走行ドローンと水中ドローンを開発し、展開。水上走行ドローンは、ドローンにフロートを付けたものであり、風の力で水面上を走行し、流水や障害物があるところでも点検が可能だ。水中ドローンは、水路や水槽構造物の調査に特化して開発したもので、水中だけでなく、カメラを水上に出し、天井スラブも点検できる点が特長である。
これらのドローンは、使用中の水がある、水が流れている施設でも調査できるため、上下水道だけでなく、農業、道路、電力など多くの分野でそのニーズが高まっている。