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管清工業株式会社

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文部科学大臣賞受賞

出前授業で創り、つなぐ                 下水道を支える基盤と次代への光

 管清工業が長年、継続してきた出前授業の取組みが、令和5年度「青少年の体験活動推進企業表彰」において、文部科学大臣賞(中小企業部門)の栄誉に輝いた。受講者の年代や地域に合わせた教材を作成している点や、水の循環が学べるオリジナルボードゲーム「めぐるめぐみ」を制作し、授業で活用している点などが評価されたのである。


下水道を知ってほしい!

 同社で出前授業を実施するのは、管路管理総合研究所。同研究所は、平成19年4月に管清工業のCSR部門として設立。普段目にすることのない下水道の重要性を知ってほしい、同時に下水道に対するイメージや知識、要望を知りたいという思いから設立された組織だ。これまで累計8万5000人の子どもたちに下水道の出前授業を行ってきた。

 驚くべきは、同社が提供する出前授業が全て無料で行われているということである。授業料はもちろん、交通費・謝礼等も一切受け取らないという徹底ぶりだ。実施場所は日本全国どこでも可能で、北海道から沖縄までスタッフが足を運ぶ。実際、47都道府県で授業を実施、その範囲は小笠原諸島などの離島にまで及ぶという。

 加えて、特別支援学級や定時制の学校においても授業の実績があり、受講者の状況に合わせて授業の内容を調整。事前の相談によっては、土日祝日、屋外での実施も可能という、まさにオーダーメイドの出前授業を行っている。

 なお、同社の取組みは平成21年、第1回国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」のサスティナブル活動部門も受賞している。


出前授業で伝えたいこと

 文部科学省が主催する「青少年の体験活動推進企業表彰」は、青少年の体験活動の推進を図ることを目的に、企業が社会貢献活動の一環として実施した優れた取組みを表彰するもの。今年度は、大企業部門48件、中小企業部門21件の計69件の応募があった。2月22日、国立オリンピック記念青少年総合センターで令和5年度「青少年の体験活動推進企業表彰」の最終審査および表彰式が開催された。

 この中、優れた取組みを展開する企業が一堂に会した最終審査の冒頭、プレゼンターを務めた同社の社員は「私たちの生活を支えるライフラインとして、メディアではよく電気・ガス・水道が取り上げられる。しかし、下水道も大切なライフラインの一つ」と強調した上で、出前授業の取組みを紹介。会場に向けて下水道に関するクイズを出すなど、出前授業の様子を再現しつつ、授業のポイントをPRした。

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 一つ目のポイントは、地域に合わせた教材を使用すること。授業を行う学校の地域について調べて、学校で使った水がどこの下水処理場できれいにされているのか地図を使って説明したり、その地域のデザインマンホール蓋を見せたりしていると紹介。自分たちが住んでいる地域について知ることで、下水道を身近に感じてもらえるよう工夫していることをアピールした。

 2点目は、紙のかき混ぜ実験を行うこと。授業で下水道に流してはいけないものとして、油・髪の毛・食べ残し・ティッシュの四つを伝えるとともに、なぜティッシュを流してはいけないのか、実験で確かめてもらうことを解説。また、実験の結果について、班で話し合ってもらい、それぞれ発表することで、授業への主体的な参加を促して、ティッシュを流してはいけない理由を自主的に気付かせる仕組みを構築している。

 3点目は、同社の強みを生かした下水道で働くロボットを使うこと。下水道の維持管理を担う管清工業だからこそ見せられるコンテンツとして、下水道で働くロボットの写真や動画を活用。普段は見られない下水道の中が見られるワクワク感があり、下水道の維持管理の重要性に気づいてもらうことができるという。

  • オリジナルボードゲーム「めぐるめぐみ」で楽しく下水道を学ぶ
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  • オリジナルボードゲーム「めぐるめぐみ」で楽しく下水道を学ぶ
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 4点目は、復習教材を配布すること。授業で学んだことをおさらいできるように、授業の要点をまとめた「下水道のハカセになれちゃう本」を制作し、授業の後に配布している。

 また、YouTubeに「下水道はっけん!」チャンネルを開設し、下水道の維持管理の重要性や、歴史などについて解説する動画を公開。出前授業だけで終わるのではなく、下水道について継続的な学習をすることができるようなきっかけづくりをしている。

 また、水循環について学べるオリジナルボードゲーム「めぐるめぐみ」を作成。出前授業と併せて実施することで、授業で学んだことを深めつつ、ボードゲームで遊びながら水循環の仕組みや、下水処理の大切さを楽しく主体的に学ぶことができるという。

 プレゼンテーションでは、実際にプレーしている様子を動画で紹介し、「ゲームで遊びながら、水がどのように循環しているのかを学び、ゲームに負けたときはなぜ負けたのかを考えることで、水の大切さを感じることができる」とPR。また、授業後には子どもと先生それぞれを対象にアンケートを実施することで、出前授業の質向上にも努めているという。

 そして、「この出前授業はリモートでも同じ内容で実施できる。実施箇所数、累計受講者数もとても多くなってきた。これからも子どもたちに下水道の大切さを伝える活動を続けて、水の循環について学んでもらいたい」と今後への強い意気込みを示し、プレゼンテーションを締めくくった。


文部科学大臣賞を受賞

 こうした最終審査のプレゼンテーションを経て、見事、管清工業が最優秀賞である文部科学大臣賞の栄誉に輝いた。

 表彰式の開催に当たり、安江伸夫文部科学大臣政務官は、「皆さんの熱のこもった発表を見て、体験学習がいかに重要であり、教育的効果が大きいものか、また学校と社会の架け橋となって学ぶことの意味を教える大事な取組みだと胸に深く刻むことができた」と述べた上で、「体験活動は、自己肯定感や自立性、協調性など社会を生き抜く上で必要な力の育成に非常に重要。皆さまの取組みはまさにこうした体験活動の場や機会を提供する大変素晴らしい活動で、次代・次世代を担う子どもたちの健全な育成に大きく寄与すると確信している。自社の強みを生かし、多種多様な体験活動を提供していることに深く敬意を表する」と述べ、受賞者を祝した。

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 今回、文部科学大臣賞(大企業部門)には、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなどを〝生きた教材〟として活用した体験型学習プログラムを実施した森ビルが選ばれたほか、中小企業部門では、映画づくりを通じて故郷を知り、次世代を担う人材育成の取組みを行ったFireWorksと、マイクロプラスチックごみを削減するため、子どもたちが栽培したヘチマを使ってたわしを作り、清掃やこども食堂への寄付を行った毛髪クリニックリーブ21が優秀賞に選ばれており、多種多様な企業が鎬を削る中、管清工業の取組みが教育CSRとして高く評価されたことがわかる。

 最終審査のプレゼンテーション後、審査委員は「下水道というなかなかわかりづらい題材をうまくゲーム化したことがよくわかった。個人的にトイレットペーパーとティシュペーパーの違いを知らなかったので、とても勉強になった。この違いを学べるワークショップが非常に良い。ボードゲームも気に入った」と講評。出前授業そのものの内容の良さと合わせて、当日のプレゼンテーションにおいてクイズや動画、会場への呼びかけを効果的に活用したことが評価されていた。

 安江政務官の発言にもあったように、体験活動は〝社会を生き抜く上で必要な力の育成に非常に重要〟で、学校の授業では身に付かない思考や能力を顕在化できる機会になり得る。出前授業を通して次世代の主役である子どもたちが社会を生き抜き、どのような未来を創造していくのか――。その一助を担う管清工業の取組みはサスティナブルな社会に向けた企業のあるべき姿を先取りしているのではないだろうか。


記者の視点

 2月22日に行われた最終審査、管清工業のプレゼンテーション後、審査委員からの第一声は「良いプレゼンでわかりやすかった」。この評価を聞いた瞬間、同社の文部科学大臣賞受賞を確信した。こうしたわかりやすいプレゼンができるのも、同社がこれまで信念を持って活動してきたからに違いない。いわゆる付け焼刃ではない、会社として軸があるからこそ。また、審査委員からの「トイレットペーパーとティシュペーパーの違いを知らなかった」という感想を聞いて、普段は下水道関係者の中にいるので忘れていたが、これが一般的な意見なのだと思い出すとともに、出前授業の重要性があらためて身に染みた。多種多様な企業が個性的な活動を展開する中、同社が最優秀賞に選ばれたことを本当に誇らしく思う。目立たない業界でも、工夫を凝らし、地道に活動してきたことが正当に評価された。それは一朝一夕ではない、時代の移り変わりに真摯に向き合ってきた同社の歴史そのものである。

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Profile

1962年(昭和37年)管清工業株式会社は誕生しました。

以来、約60年にわたり、一貫して「管」(パイプ)の維持・管理を行い、日本の下水道インフラを支えてまいりました。

下水道の管路網を専門的に管理、清掃することが当社の社名=管清工業の由来となっています。まさに「名は体を表わす」という言葉を自負しています。

創業以来、ずっと変わることのない思いは、「市場は自分で作り同業他社と共に開拓していく」こと―――。社員は1から2を生むのではなく、0(ゼロ)から1を生むことに力を注いでいます。創造し、多様なインフラの価値を創り出してきたのです。

下水道は今や、この現代社会では欠かせない存在となりました。例えば、震災時にトイレが使えなくなると途端に不自由な生活を強いられます。また、下水はウイルス発生の予兆を知る事が出来ると言われています。現代に生きる我々には、もはや当たり前の存在とし、流れを止めることの出来ない重要なインフラと位置づけられているのです。

さらに、私たちはこの下水道を通じ環境教育の一環として、全国の学校に訪問し下水道の「出前授業」を通した啓発活動を行っています。子供たちに、美しい環境を残していくことが我々の大きな役割だと考えています。そして、その使命を胸に、日本全国でより良い生活環境を創出するために、管清工業株式会社は24時間365日稼働し、常に社会基盤を支えているのです。

美しい地球のために―――我々と一緒に、未来の地球環境を創り上げていきませんか。

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